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世界の水問題の取り組み|磁石が水不足を解決する

私たち人間が1日に使用する水の量は、1人当たりおよそ300ℓといわれていますが、日本では「飲み水に困ること」が身近ではないため、水の大切さについて問われてもピンとこない人も多いはずです。

しかし、世界では水不足が深刻化し、当たり前に清潔な水が確保できない地域が多く、水不足が原因で紛争が起こることもあり、今、世界の水不足問題の解決が急がれています。

太陽光を使った消毒剤が開発された

そんな中、スタンフォード大学とSLAC国立加速器研究所の科学者が、太陽光エネルギーを用いて水媒介性感染症の原因になる細菌を殺す消毒剤を開発しました。

この消毒剤は低コストかつリサイクル可能であることから、安全な飲料水が利用可能な状態にない20億人の人々を助ける可能性があります。

無害の消毒方法を採用した

本来、水を消毒する技術には、有毒な副産物が発生する化学物質を用いる方法や、時間と電源を要する紫外線を用いる方法がありますが、今回の研究では無害な金属粉末を用いた方法を採用しました。

粉末は酸化アルミニウム、硫化モリブデン、酸化鉄、銅からなり、太陽からの紫外線と可視光の両方を吸収することで機能し、材料は少量で済み、また安価で、一般的な材質であることが特徴です。

この粉末を水に混ぜて太陽光に当てることで生成される過酸化水素とヒドロキシルラジカルが細菌の細胞膜に深刻なダメージを与え、細菌を速やかに死滅させます。

60秒で飲料水に変化する

実験では、汚染水に粉末を混ぜて太陽光に当てたところ、細菌は60秒以内に死滅し、成果が得られたといいます。

さらに、殺菌に使用した後の粉末は一般的な磁石で集め、再利用することができ、約30種類の汚染水を使用可能な水に変えることができたといいます。

磁力のある粉末は簡単に作ることができることから、今後1t単位でスケールアップが予定されており、排水処理施設をはじめとする大型施設の仕組みそのものを変えることが期待されています。

汚染水を飲料水に変える簡単な方法は、水不足に悩むアフリカの人々の救世主になるのかもしれません。

引用画像:
https://news.stanford.edu/2023/05/18/new-technology-uses-ordinary-sunlight-disinfect-drinking-water/

参考サイト:

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