何らかの脳の病的変化により認知機能が障害され、日々の生活に支障が現れる認知症は、年齢と共に急峻に高まることが知られています。
現在65歳以上の約16%が認知症であると推定されていますが、高齢化社会によりその数は2025年には、高齢者の5人に1人が認知症になると予測されています。
そんな中、ある病気を予防するためのワクチンを接種することで認知症を防ぐことにつながることが明らかになり、注目を集めています。
スタンフォード大学が研究を進めた
スタンフォード大学の研究チームはイギリス南西部に位置するウェールズで2013年9月に開始された、70歳~79歳の市民に帯状疱疹ワクチンを提供する施策について、研究を行いました。
この施策ではワクチンの無償提供対象を生年月日で区分したため、2013年9月1日時点で80歳を超えていた市民と70歳~79歳だった市民との間に接種率の差が生じていたことが特徴です。
年代でワクチン接種率が異なる
接種率を分析した結果、1933年9月2日より前に生まれた人と、それ以降に生まれた人との間でワクチンの接種率の差が平均で47%あることが明らかになりました。
以前から認知症の発症と帯状疱疹ウイルスの関連を示す証拠は報告されていますが、因果関係を示した論文は発表されていないことから、研究チームは関係性を証明するために更なる追跡調査を実施しました。
女性の発症率が減少した
この事実をもとに市民を7年間にわたり追跡調査を実施したところ、ワクチン接種率が高い市民は、認知症発症率が優位に低いことが明らかになりました。
特に女性の発症率が低下していることから、帯状疱疹の発症率が高いといわれる女性にとっては、ワクチンの有効性が証明されたともみられています。
帯状疱疹の発症率は50代から高まり、年代が上がるにつれて増加する傾向にあるといわれ、睡眠や休息に加えて、ワクチン接種が最も効果のある予防策として推奨されています。
保険適用外のワクチンですが、多くの人が発症し、辛い思いをすることを考えると、お金をかけてでもやるべきものなのかもしれません。
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